カウモチサイ

おもに身近なクモや直翅類などのブログです。

孵化が始まった

2月下旬

今日はやけに暖かいと思っていたら、ついにヒメギスの孵化が始まってしまった。

ヒメギス 2022年8月下旬採卵 2月27日孵化

去年の8月に一週間程度飼ったヒメギスが産卵した卵。園芸スポンジに全部で20〜30?ほど産卵した。上の個体は残念ながらあまり餌も食べないまま数日で行方不明になった。

そしてもしやと思いヤブキリのケースも覗くと。

ヤブキリ 2022年8月上旬〜中旬ごろ採卵 2月27日孵化

普通のヤブキリ。途中でかなり乾燥させてしまったが、問題なかったようだ。孵化はもう少し遅らせたかったが、孵化してしまった。しかしまだ本格的には始まっていないようである。

孵化2個体目 3月3日

ヒメギス 孵化3個体目? 朝見ると孵化していた。

ほぼずっと真っ黒な虫だが、孵化直後は流石に黒くない。

夕方には普通の色に。

このようにヤブキリ、ヒメギスといったキリギリス類の孵化が始まった。ただ昨年の同時期に採卵したヒガシキリギリスの卵はそもそも数が少なく、初期に乾燥させすぎたせいでどうも失敗してしまったようだ。まだいろんな卵を保管しているので、これからも楽しみ。

モリオカメコオロギ

モリオカメコオロギ Loxoblemmus sylvestris

オス成虫

メス成虫

 

体長 15mm前後

成虫が出現する季節 7月下旬〜11月頃

分布 本州、四国、九州、対馬屋久

鳴き声 リッ・リ・リ・リと2〜6声鳴く、気温が高いときはテンポが速くなり、低い時はリィ・・・と1声だけで弱く鳴いたりする。初めの一声目が長いというが、個人的には分かりにくい。主に夜間鳴き、個体差あるが昼はほとんど鳴かない。時期が遅くなってもあまり明るい時間帯には鳴かない。

 

モリオカメコオロギは、コオロギ科オカメコオロギ属の一種。雑木林や林縁などに生息する普通種で、私の家の付近ではハラオカメ、ツヅレサセ、エンマコオロギよりよく見られる。

特徴、類似種

同属のハラオカメコオロギやタンボオカメコオロギと極めてよく似ており、タンボオカメの場合は生息場所や体色、鳴き声等から判別がそこまで難しくないが、モリオカメは特に難しい。翅端の網状部や腹板の色、生息場所などから判別できるが、河川敷などで混生することもあるらしく、メスなどでは本当に分からなくなる。

生態

雑木林など、様々な環境に生息する。雑食で様々なものを食べる。土中産卵。幼虫は5〜6月頃孵化し、成虫は早くて7月の下旬から出現し始め8〜9月に多くなる。11月の上旬頃まではまだそれなりに数がいるが、それ以降はかなり少なくなる。しかし稀に12月中旬頃まで生き残って鳴いているオスを見かけることもある。

生息環境

草地環境や開けた場所でも見られるが、基本的に平地の雑木林や付近の林縁などに多い。自然度の高い場所では多くの個体が見られる。

採集

個体数の多い場所は多く、そのような場所では特に採集が簡単。昼に林床の落ち葉などに潜んでいる個体を見つけるだけでも非常に簡単だが、夜間は付近の林道などでも多くの個体が見つかる。

飼育

割と簡単で他のコオロギ同等の方法で飼えるが、過密飼育には弱く、安定して長生きさせるには単体飼育がいい。落ち着ける環境がないと数日で突然死したりする。少し湿っている環境か、水分補給ができる環境で飼育しないと特に幼虫では死亡率が高くなる。

オス正面 扁平な顔。短小型という、少し小さく頭部のへこみが発達していない個体もいるようである。

横から

メスは顔が丸いが、それでも他のコオロギよりは少し平べったい。

前翅先端がハラオカメより尖っている。

腹板。ハラオカメよりも色が濃いらしい。

 

 

野外で年を越した虫たち

年を越した。それからというもの飼育していた虫たちもどんどん亡くなっていく。そんな中でも、まだまだ野外で生きている虫たちもいた。

オンブバッタ

秋頃、温度が高かった為孵化した幼虫。毎年少しずつ遅い時期までの生き残りが増えてきている。

ジョロウグモ 1月2日

 

まだ生き残りがいた。弱ってなんとか糸にぶら下がっている様子だった。

1月4日 近所の神社で確認。

多産地だったため、人工物の周りに造網している個体がまだ見られた。

1月5日 樹間に網を張る個体。

足が少ない個体。

思ったよりしっかり動けている様子だった。

12月21に見つけたジョロウグモ。流石にいないよな・・・と思わずつぶやいたら突然目の前に現れた。

これもか・・・??

年を越したセスジツユムシ。しかし見ると足が一本なくなってる。

はじめ見た時はなんとも思わなかった、しかしよく見てみると、以前見たサトクダマキモドキの自傷とよく似ているのだ。

明らかに自分の脚を噛んでいたりするところを見たわけではないけど、どうも取れ方が不自然に感じられる。

1月9日に亡くなってしまった。その時にはもう片方の中脚も取れてしまっていた。

 

年越しした直翅

明けましておめでとうございます。

初日の出

この写真を撮影したエリアではクマザサや竹類の藪になっていて、もしかしたらヤマトヒバリやフタツトゲササキリなどがいるのではないかと思っている。

 

 

長かった…ついに年を越した。

今年は忙しくなるため、ほとんど採集には行けないと思うが、飼育種だけでも頑張りたい。

年を越した直翅であるが、12月20日を過ぎたあたりからの大量死で大きく数を減らしてしまい、思った以上に少数になってしまった。

セスジツユムシ

11月18日頃?〜11月下旬採集♀3匹

11月という遅い時期に捕まえたセスジツユムシたち、最近はずっと放置していたが普通に生きている。どの個体も流石にボロボロになってきてる。

ササキリ

11月24日採集♂

こちらも遅い時期に捕まえたもの、ここ最近非常に元気がなく心配だったが、なんとか年越しできた。

 

今年の飼育種の大半は10月中に亡くなってしまいここまで残ったのはそれ以降に捕まえたものだ。やっぱりヒーターないと厳しい。

今年こそは長生きさせたいものだ。

今年の直翅 まとめ〜2022〜

今年見られた直翅

今年見られた直翅まとめ。「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」を参考にまとめた。

目視で確認し、同定したもの

1 マダラカマドウマ

2 カマドウマ

3 クラズミウ

4 ナミヤブキリ(関東平地個体群)

 (トウホクヤブキリ、イブキヤブキリ?)

5 ヒガシキリギリス

6 ヒメギス

7 コバネヒメギス

8 クサキリ

9 ヒメクサキリ

10 クビキリギス

11 ホシササキリ

12 ウスイロササキリ

13 オナガササキリ

14 ササキリ

15 ハヤシノウマオイ

16 セスジササキリモドキ

17 ヒメツユムシ

18 キタササキリモドキ

19 ツユムシ

20 アシグロツユムシ

21  セスジツユムシ

22 サトクダマキモドキ

23 エンマコオロギ

24 タンボコオロギ

25    モリオカメコオロギ

26    ハラオカメコオロギ

27    タンボオカメコオロギ

28    ミツカドコオロギ

29    ツヅレサセコオロギ

30 クマスズムシ

31 アオマツムシ

32 カヤコオロギ

33 カンタン

34 ヤマトヒバリ

35 キンヒバリ

36    クサヒバリ

37    ウスグモスズ

38    ヤチスズ

39 マダラスズ

40    シバスズ

41    ヒゲシロスズ

42 カネタタキ

43    ノミバッタ

44    ハラヒシバッタ

45   ハネナガヒシバッタ

46    オンブバッタ

47    フキバッタsp

48    ヤマトフキバッタ

49    ツチイナゴ

50    コバネイナゴ

51    ハネナガイナゴ

52    ショウリョウバッタ

53    ショウリョウバッタモドキ

54    ヒナバッタ

55    トノサマバッタ

56    クルマバッタ

57    クルマバッタモドキ

58 イボバッタ

 

 

鳴き声のみの確認、または明確に同定できなかったもの

1 タニガワハラミドリヒメギス?

2 エゾエンマコオロギ(カワラエンマ)

3 クマコオロギ

4 カワラスズ

5 エゾスズ

6 ヒロバネカンタン?

 

 

飼育個体のみ確認

1 クツワムシ

2 フタホシコオロギ

3 ヨーロッパイエコオロギ

4 クチナガコオロギ

5 マツムシ

6 リュウキュウサワマツムシ

7 スズムシ

 

 

飼育した種

1 ナミヤブキリ

2 ヒガシキリギリス

3 ヒメギス

4 コバネヒメギス

5 クサキリ

6 ウスイロササキリ

7 オナガササキリ

8 ササキリ

9 ヒメツユムシ

10 セスジツユムシ

11 サトクダマキモドキ

12 ヨーロッパイエコオロギ

13 タンボコオロギ

14 モリオカメコオロギ

15 ハラオカメコオロギ

16 ミツカドコオロギ

17 ツヅレサセコオロギ

18 クマスズムシ

19 スズムシ

20 カンタン

21 ヤマトヒバリ

22 キンヒバリ

23 ヒゲシロスズ

24 クルマバッタ

25 ショウリョウバッタモドキ

 

以上。大体去年見たいと思っていた直翅の多くは見つけることができたからまあいいかな。普通種は多く確認できた。他にもっと珍しい種も見つけたかったが、関東の都市部では難しい。

来年、再来年も頑張りたい。